『中小企業の会計に関する指針』(以下、『指針』)は、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の4団体が、法務省、金融庁及び中小企業庁の協力のもと、中小企業が計算関係書類を作成するに当たって拠るべき指針を明確化するために作成したものです。
作成された背景
株式会社における会計は、会社法上、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとされています。
中小企業でも本来は、取引の経済実態が同じなら会計処理も同じになるよう、企業の規模に関係なく同一の会計基準が適用される必要があります。
しかし、会計情報の利用者が限られる中小企業では、投資家の投資意思決定に対する役立ちを重視する会計基準を一律に強制適用することが、費用対効果の観点から必ずしも適切とはいえない場合もあります。
また、中小企業においては、経営者自らが企業の経営実態を正確に把握し、適切な経営管理に役立てることが、会計情報に期待される役割として大きいと考えられます。
この点を踏まえて、中小企業が計算書類の作成に当たって、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものとして作成されたものです。
このため、中小企業は、本指針に準拠して計算書類を作成することが推奨されています(強制ではありません)。
適用対象となる会社
『指針』では、適用対象の会社として、下記以外の株式会社を挙げています。
(1) 金融商品取引法の適用を受ける会社並びにその子会社及び関連会社
(2) 会計監査人を設置する会社(大会社以外で任意で会計監査人を設置する株式会社を含む。)及びその子会社
上記の会社は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき計算書類(財務諸表)を作成する必要があることから、本指針の適用対象外とされています。
また、特例有限会社、合名会社、合資会社又は合同会社についても、計算書類の作成において『指針』に拠ることが推奨されています。
『指針』の構成
『指針』は、【総論】と【各論】に大別されています。
【総論】においては指針が作成された背景や目的、適用対象会社、基本的な考え方等が規定されています。
【各論】では、勘定科目や内容別に会計処理方法や基準、表示の方法等が規定されています。
日本税理士会連合会のウェブサイトに、最新の『指針』やチェックリストの概要等が記載されています。
こちらも併せてご参照ください。