値上げは、経営者にとって悩ましい問題です。
「値上げをしたら、売上が下がってしまうのではないか?」と。
そして「売上が下がったら利益まで減ってしまって、経営が苦しくなるのではないか?」という心配・不安もあるでしょう。
たしかに、値上げが売上にどのように影響するか、という予測は難しいです。
しかしながら、
「値上げして売上が下がったら、必ず利益も下がる」
とは限りません。
値上げとは単価を上げること
以前に、「金額=単価×数量」ということを書きました。
売上にも「売上高=販売価格×売上数量」ということが言えます。
ここで、値上げした場合を簡単な数字例で示します。
従来の販売価格:100
従来の売上数量:100
従来の原価(単価):60
この場合、
売上高 = 販売価格100 × 売上数量100 = 10,000
粗利益 = (販売価格100 - 原価60) × 売上数量100 = 4,000
となります。
ここで、販売価格を110にした結果、売上数量が95となった場合は
売上高 = 販売価格110 × 売上数量95 = 10,450
粗利益 = (販売価格110 - 原価60) × 売上数量95 = 4,750
となり、売上も利益も増える結果となります。
販売価格を110にした結果、売上数量が85となった場合は
売上高 = 販売価格110 × 売上数量85 = 9,350
粗利益 = (販売価格110 - 原価60) × 売上数量85 = 4,250
となり、売上は減っても利益も増える結果となります。
販売価格を110にした結果、売上数量が80となった場合は
売上高 = 販売価格110 × 売上数量80 = 8,800
粗利益 = (販売価格110 - 原価60) × 売上数量80 = 4,000
となり、売上は減っても利益は変わらないという結果となります。
このように、値上げの場合は売上が減っても、それが必ずしも利益を減らすことにはならないということは知っておいてよいでしょう。
売上数量への影響がカギ
値上げによって
・売上が増えるかどうか
・利益が増えるかどうか
は、売上数量次第となります。
したがって、値上げが売上数量にどれだけのインパクトを与えるのかの見極めが重要となります。
ここでは簡便的に原価が変わらない前提でシミュレーションしましたが、原価上昇に伴う値上げの場合はより複雑になるでしょう。
様々な状況を想定したうえで値上げするかどうか、および値上げ額(値上げ率)を決定するようにしましょう。