在庫に関してやらない方がいい3つのこと

 

在庫は、将来販売することによって売上代金を得るために、一時的に保有しているものです。
一方で、在庫はお金を支払って購入・製造したものであり、資金繰りの観点からは少なければ少ない方がよいものです。

しかし、在庫を少なくすることは、「販売できるのにできない」という販売機会を失うリスクを抱えることにもなります。また、その販売機会を同業他社に奪われるおそれもあります。

この両面を考えると、在庫を少なく持つことは簡単なようで実際には難しいと言えます。

 

しかし、その両面を考慮しても「やらない方がいいこと」もあります。
主に以下の3点です。

 

1.売れない在庫をいつまでも保管する

売れ行きが悪い(動きが少ない)商品でも売れることがたまにあれば、「いつか売れるかもしれない」と、その在庫をいつまでも持ってしまいがちです。

「せっかく買った商品なのに処分したら無駄遣いになってしまう」と、処分をすることに抵抗があるかもしれませんし、商品の仕入が失敗だったことを暗に認めてしまうことに対する抵抗感もあるかもしれません。

しかし、不良在庫をたくさん抱えたままでは、倉庫内に余計にスペースをとることになり、その分倉庫代がかかります。
また、商品を置いておくだけでも、在庫数のチェックやデータ管理のための人件費(時間)もかかってきます。
在庫を持つこと自体にコストがかかることを認識する必要があります。

余分なコストを極力かけないという観点からは、「一定期間内に所定の個数が売れなかった商品については、処分をする」等のルールを定め、ブランド価値を落とさない範囲で値引販売をしたり、あるいは思い切って数個だけ残して、その商品を廃棄してしまうような施策も考えられます。

 

在庫を処分をすると、その損失分だけ決算上の利益は小さくなります。
結果、税負担も小さくなります。

ごくたまにしか売れない商品であれば、その商品を保管しつづけることで得られる利益は、保管するためのコストや税負担を上回る可能性が低いので、処分するという選択肢が最適な場合も考えられます。

 

2.不良在庫を倉庫の奥に置いておく

商品の出し入れの作業効率を考えれば、よく売れる商品を取り出しやすい場所に配置・保管した方が良いと言えます。

しかし、それをすると倉庫の奥の方に不良在庫が知らず知らずのうちにどんどん溜まっていってしまいます。
不良在庫の存在、および値引販売・廃棄によって、その不良在庫を処分する必要性に気がつくためにも、できるだけ見やすい場所に不良在庫を保管する方が良いでしょう。

 

3.倉庫をどんどん大きくする

倉庫は大きい(広い)方が作業効率は良くなります。
しかし、倉庫に余裕があるとどうしても不良在庫を処分することが疎かになります。
最初はスペースに余裕のあった倉庫も、時間の経過と共に在庫でいっぱいになりがちです。

もし、倉庫がいっぱいになったというのであれば、大きな倉庫への移転を考える前に、まずは不良在庫の処分を検討することをおすすめします。

倉庫の大きさは、在庫を持つことができる物理的な限度でもあります。
取引規模が急拡大している状況ならまだしも、そうでない場合は、倉庫(=在庫を抱える容量)を大きくする前に、現状の限度内で在庫の処分や不良在庫を生み出さない方法を考える方が、利益・資金管理の面からも有用であると考えられます。

倉庫を大きくすることは、通常は保管コストを大きくすることになりますし、在庫量が多くなれば、購入に伴う資金支出も多くなります。
そのコスト・資金支出と効果とを冷静に比較したうえで判断する必要があるでしょう。