社内の現金(小口現金)残高は、帳簿(会計データ)上の残高と一致していますか?
現金の帳簿上の残高と実際の残高が常に一致している状態にするために、実際の現金残高と帳簿残高のこまめなチェックは不可欠です。
現金の残高が合わない理由
現金の帳簿上の残高と実際の残高が一致しないのは、大きく
★ 現金の動き(入出金)が正確にデータ入力されていない
★ 現金の動き(入出金)のデータへの反映に漏れ、または重複がある
に分けられます(※)。
(※)ここでは横領・盗難のような不正・不法行為はないという前提です。
会計データの入力が正確でないか、漏れ・重複があることによって、残高の不一致が発生することが大半です。
そのため、一致しない場合はまず「会計データが正確に入力されているかどうか」、そして「データ入力に漏れ・重複がないかどうか」を確認しておく必要があります。
こまめにチェックする方が原因を究明しやすい
何か物を失くして探す場合などもそうですが、時間の経過が短いほど原因は見つけやすく、時間が経過するほど難しくなります。
当日や前日の現金の動きなら記憶できても、1か月前や半年前のような過去の動きまで全て正確に記憶するのは困難です。そのため、不一致があった場合に、原因を早期に究明するという点でも、こまめなチェックが必要と言えます。
チェックする頻度は「毎日」がベストだが、状況次第
どのぐらいの頻度が望ましいかというと、「毎日」がベストでしょう。
その日の終業時(または会計データの入力完了直後)に実際の現金残高も数えて、帳簿上の残高と一致しているかどうかを確認します。
一致していなければ、すぐにデータの入力内容の再確認と、漏れ・重複の有無の確認をします。
「小口現金が全く動かない(入出金がない)日」という場合もあります。
そういう状況でも「毎日」を徹底するのは、かえって業務を煩雑にすることもあります。
そのような場合は、「動きがあった日は必ず」という頻度に設定するのも一案です。
「毎週末」とすることも考えられますが、例えば金曜日の夕方~夜にチェックしてみて一致していなかった場合に、月曜日朝の入出金から遡って領収書等を再確認するのは大変な場合が多いのではないでしょうか。
そのため、少なくとも「週1回」より多い頻度でもチェックすることをおすすめします。
「現金が合わない」は管理能力を問われる
小口現金の残高が合わないというのは、会社としての管理能力も疑われます。
「お金もしっかり管理できないのに、取引先に対する債権や債務をちゃんと管理できているの?」
ということです。
実際、会計監査においても、現金残高の不一致(帳簿上の残高と実際の残高が合わない)は内部統制上重要な問題となります。
本来「一致していて当然」と言えるものが一致していないという状況のため、「何か不正が行われているのではないか?」という疑念まで生じうるのです。
現金は目に見えるし数えやすい。だからこそしっかり管理を
現金は目に見えるものであり、身近にあり、数えやすいものです。
お金を数えて、金額が帳簿残高と一致しているか確かめることに、高度な技術はいりません。
一致しているのが当然と想定されるものであり、だからこそ管理も抜かりなくする必要があります。
しっかりした管理を心がけましょう。